

2025.12.01
- あらすじ
- 21歳の時出演した「ROOKIES」が社会現象に。
けれど俳優として一番悩んだのもその頃だった。
自身を“プレッシャーに弱い”“今でも現場の前日は不安でしょうがない”と語る市原さん。
少しずつ見つけていった“市原さんの生き方”とは。
1 人生が変わった瞬間
- 20代の頃、役者という職業か何のためにあるのか、その本質を悩み考え抜いた、というお話を以前うかがいました。そもそもなぜ考えるようになったのでしょうか?
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市原さん元々人前に出るのか苦手だったんです。人前で喋るのもすごく苦手で。若い頃は自分が何のために仕事をして頑張るか、そのポイントがわかっていなかったんです。ただがむしゃらに一生懸命頑張りたい、何かをやりたいと思っていても、頑張り方がわからなかった。それが10代後半20代前半ぐらいの時に、応援していただいているファンの方から、「あの作品を見て、家族の会話が増えたんです」とか、「あの作品を見て、余命が三ヶ月なんですけど、病室で笑顔になれるんです」というお言葉をいただいて、涙が止まらなかったんです。「役者というのは、お客さまのためにある職業なんだ」と。その時改めて、物事の根源に気付きました。現場で芝居をして終えるのではなく、自分が向き合っているものを、誰に何を何のためにどう伝えるべきなのか。それを深く考えるようになりました 。
2 自分を動かす原動力

- 20代というと市原さんはすでに作品も多く出られていて、憧れる人が多い立場だと思うのですが、それでもそんなこと思うんですか?
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市原さんやっぱり自信がないので。ですが、今思うのは、自信がないことを誇りに思います。自信がないから努力できる。よく父に言われたのですが、自信がないなら、人が寝ている間に10倍努力しなさいと。自信がないからよりいろんなことを自分で学んでキャッチして、何か物事に対しても受け身ではなく自分から向かっていこうとできる。いつまでも初心を忘れちゃいけないんだと。おごらず、キャリアを重ねる度に、逆に初心に戻っていく。そんな意識を持つことを大切にしています。
- 今お話にあったお父さまの影響というのは、どこか強くあるのでしょうか?
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市原さんどこかで父の背中を追っている所もあるかもしれません。父は開発者でなかなか家にも帰ってこないし、数字をバーっと書いたりしてるような人でした。ですが、小学校の時にキャッチボールがしたいというと、暗くなってもずっと付き合ってくれるです。隼人が納得するまで、いくらでも付き合うから、と。それがすごく嬉しくて。エンターテイメントもそうでありたいと。なので最近も、舞台挨拶でお客さまにもっと喜んでいただくためにはどうしたらよいだろうと考えて、朗読劇をしたり、その場でお芝居をしてみたり、、、自分で提案していったりしています。もともとあるモデルケースを元に、じゃあ自分だったら何ができるかと。もう1つ、自分の存在意義を考えなければならないと思っています。
- お話をきいて、“自分が何をするべき”というイメージを具体的に持たれていてすごいと思いました。30代、40代、50代でも、何をしていいのかわからない人ってたくさんいると思います。
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市原さんむしろ、そうあるべきだと思います。常に通過点でありまだ答えを出してはいけないと思います。私は旅が好きなのですが、なぜかというと、価値観が全然違うことを実感できるからです。今、自分が生まれた場所での価値観がありますが、それは日本の中、地域によってもちがう。感受性も文化も歴史も、全部違う。日本を離れればもっとです。法律もルールさえもどんどん変わっていく。例えば同じ職業で、同じ理念の会社にいても、上司が違うだけでやり方も正解も変わってしまう。同じ学校であっても、担任の先生が違うだけで、学ぶプロセスや、 気持ちの持ち方もすべて変わってしまう。何を信じればいいのかわからなくなってくるんです。それを少しずつ、コツコツと自分なりの人生の歩み方で、自分なりの価値観を見出していく。その繰り返しが、1つの生き方なのではと思うんです。死んで墓に入ってから「あの人って、こういう人だったね」といわれるまでは、常に、変化していっていいのではと。ある程度のアイデンティティは絶対持っておかなきゃいけないと思いますが、今日(他人から)言われることと、明日明後日いわれることに対して、自分の中の答えが違っていいと思うんです。
3 未来の動かし方
- ”努力をし続ける“というお話をききましたが、努力はむくわれるものですか?努力に裏切られたことって、ないんですか?
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市原さん努力に裏切られたことは何度もあります。なかなかやっぱり形にすること難しいですし。ただ、やりたいことをやるには、やりたくないこともたくさんしなければならない。それをやって初めて、やりたいことがポツンと1つできるんです。そのときのために常に準備をしておかないと、と思っています。
- 5年後、10年後に、こうありたい、という未来像はありますか?
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市原さん5年10年後は、もう精魂突き果てるような現場に向き合ってみたいです。もうだめだ、もう何もできないと。私がお客さまだったら、そんなものづくりをしてしている人を見てみたいです。「あ、こんな思いで、これを作り上げたんだ」と。私は映像作品が好きで、自分でも撮ってみたいと思い、それならばと、まずひとコマひとコマのスチールを自分で勉強するようになったのですが、結局面白いものは、想像力をかき立てられるんですね。お客さまにもいろんなことを想像していただき、活力にしていただきたい。そこには作り手の人間性というものが絶対出てくると思うんです。なので、作り手はどこまでも人間くさく、そして、人道的でなければならないと。人間愛に育まれて作られるものというのは必ずお客さまに愛情が見えると思います。

- 努力する自分でありたいのですが、最初は夢があったはずなのにモチべーションを“維持”することが難しいです。
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市原さんそれは、本格的にプロとしての覚悟と向き合えているからだと思います。どんなことでも、本気でやってると、絶対楽しくなくなるんです。最初はこれは楽しいなとワクワクして、1つ1つが新鮮で。でもどんどん本気になれば、本気になるほど、本質が見えれば見えるほど、楽しむ余裕がなくなってくるんです。なので、そこが勝負だと思って続けてみていただきたいです。
- 熱量高くいるのって・・・
正直疲れたりしませんか? -

市原さんすごくあります。もう正直、今も足も動かないし、頭もてんてこまい。ですが、どっかに「笑わせんじゃねえよ」と思う気持ちもあって。「自分はこんなもんじゃない」と。まだまだチャンスは、たくさん周りに流れているもので。疲れているからという理由でチャンスを逃してしまっては、本当にもったいないなと。もうはいつくばってでも、なんとしてでも、明日を掴みにいくという。もう毎日、満身創痍な状態で向かう。心配性でもあるので、明日はこういう感じかなと、イメージトレーニングをしながら、まだまだ自分はできるはずだと信じていく。そうすると1年間も一瞬のように感じる、その繰り返しです。
ありがとうございました。
人間くさくて、努力を続ける姿勢がまぶしくて、俳優としてもひとりの人間としてもあまりにも魅力的な市原隼人さんのインタビューでした
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